福祉車両の普及と課題

意外と普及が進まない福祉車両とその理由とは?

福祉車両の普及は…?

高齢化社会が進む現代の日本。さぞかし福祉や介護分野の技術や商品は発展し、普及しているのだろう…と思っている人が多いでしょう。

たとえば、福祉車両もそのひとつ。高齢者や身体が不自由な人が車椅子のまま車両に乗り込めたり、運転補助装置を使って運転を楽しむこともできるといったしかけが施された福祉車両は、これからの時代にはなくてはならない自動車の形であることは間違いありません。実際、現在販売されている一般的な乗用車の中にも、福祉車両としての機能を盛り込んだ福祉車両タイプの車種は増えてきています。

しかし、実際のところ福祉車両の普及は思ったほど伸びていないようです。なぜかといえば、ほとんどのメーカーが標準車と比べて福祉車両の値段設定を割高にしているため。

また、メーカー側が福祉車両について積極的に宣伝PRなどを行っていないといったことも、普及が拡大しない原因といえるでしょう。バリアフリーが進んだ快適な高齢化社会を作るためには福祉車両の普及は重要なことのように思えるのですが…。これはなぜなのでしょう?

福祉車両は免税される

福祉車両が標準車に比べて割高で、なおかつあまり宣伝もされていないというのには、実は理由があります。それは消費者は福祉車両の購入に際し、消費税が免除されるという制度が適用されるのに対し、自動車メーカーに関しては消費税は免税されないという不公平な制度が適用されているためです。

消費者にとっては、消費税の免除はうれしいところですが、メーカー側は製造時にかかったさまざまなコストにかかる消費税を全て負担することになってしまいます。つまり福祉車両が売れれば売れるだけ、消費税分は損をするという形になってしまいます。やむをえず、メーカーは消費税分を価格に上乗せする形で販売することになります。

福祉車両を積極的に販売する気になれないというのも納得できるのではないでしょうか。とはいえ介護を必要とする人がいるご家庭にとって、福祉車両の存在はとても心強いものです。

来るべき高齢化社会に向け、今はまだ福祉車両は必要ないという人でも、いずれ必要となることもイメージしておく必要はあるかもしれません。